小袋、二重袋、三重袋、いっぱつ
なんのことかと言うとりんごの有袋栽培に関する事なんですが、今回は当園の有袋栽培しているりんごについて。
りんごは品種によって無袋栽培と有袋栽培に取り組んでいます。有袋栽培している品種は世界一、ジョナゴールド、金星、それに今年は少しだけふじにも袋をかけます。昨年までの有袋品種には陸奥(むつ)というのもありましたが園地増加に伴って引退(伐採)されております。
まずは小袋について。
これは金星という品種に小袋をかけた様子。世界一にもこのように小袋かけますが袋の素材が違います。金星、世界一ともに果面がデリケートなので小さなうちからこうやって袋で保護してあげます。そのうち大きな袋に掛け替えしますが。
それじゃ最初から大きい袋かけちゃえばって言われることもありますが、実が小さいうちに大きな袋はツルもとへの負荷が大きいかな(袋が大きい分重さと風による負荷もまとも、落果しちゃう?)というのと、ある程度実が大きくなってから袋の掛け替えする事で品質の良し悪しを見極めて良いものだけ残すことができます。
これは小袋をはいだ金星。多少サビがついているのと形も少しイカリ型であまり良くない。こういうのは掛け替えのタイミングで落とすことができます。
これは小袋をはいだ世界一。美白って感じです。袋をかけ忘れたやつは太陽に当たって緑色になってます。光合成による葉緑体とかクロロフィルとかその辺が絡んできますので難しい事は割愛。有袋栽培の赤色品種は美白なところから赤くなるのでややピンクっぽい赤みで鮮やかに色づきます。同じ品種でも有袋と無袋とで色味が変わるんですね〜。さらには味や品質まで変わってきます。袋を掛けるか掛けないかの違いって奥が深いんです。
(ちなみに今現在、袋を掛けていないりんごの幼果は緑色もしくは日に当たった部分が赤くなっています、大きくなって熟れるに従って赤、黄、緑と品種固有の色になります)
世界一は世界一用の袋、金星は金星用の袋に掛け替え。
これは世界一の袋、右側は世界一の小袋です。あんまり変わらないように見えますが、手に取るとかなり違いあります。
これは金星の袋掛け替えの作業途中。写真上側は袋切り替え後。下に見えるのが小袋で切り替え前です。金星の大袋は少しフニャッとした感触。
世界一は除袋したあと赤く色づきます。金星は収穫後まで袋を剥がすことなし!金星は美白のまま出荷されます。
続いてジョナゴールド
こちらは小袋はかけずに通常の袋をかけます。二重袋といって、袋が二重構造になってます。写真無くて申し訳ないです。
袋をはがして太陽に当て赤く色づけますが、まずは二重構造の外袋を剥がします。数日後に内袋を剥がすんですが、この時間差によって太陽による日焼けを防げたりするのです。もちろんガンガン照りだと焼けたりします。いつも太陽の下にいる人より、あまり日に当たらないお肌が白い人が日焼けでダメージ受けるのと似てますね。
一方で、今年チャレンジするふじのいっぱつ袋。こちらもまだ作業前で写真ありません、申し訳ない。
二重袋は二度に分けて袋を剥がし、徐々に太陽に慣らすのですが、いっぱつ袋は一回で全て袋を剥がします(正確にはいっぱつ二重袋で袋は二重構造ですが袋を剥がすのは一回)
つまり太陽の光をモロに受けます。
ですので人が袋を剥がすタイミングを考えてあげる、曇りの日など太陽がガンガン照りでない時を狙って剥がします。詳しいこと言うともっと条件があります。
しかし、その分除袋作業が一度で済むというメリットもあります。
これまで言ってきたようにけっこう袋かけと言っても複雑で奥が深いです。そもそもなんでこんな事するかと言うと、
品質のため(美味しさ以外の品質)、作業性のため、青森県産りんごの長期販売のためです。そして高単価販売のため。
さて、散々と有袋栽培について述べてきましたが、私は有袋栽培をそのうちやめてしまうおうかと考えています。なぜかというと私の作りたい果物、やりたいことにハマらないからです。
第一に美味しいものをお届けすること尽きるのですが、なかなか有袋栽培をしたから美味しいんだ!ということに繋がらないのが現実かと思います。
もちろん有袋栽培のものは美味しくないってことではないです。ここは誤解しないで頂きたいです。どちらかというと無袋栽培の方が美味しいと感じていますし、個人的に好きなのでそれを皆さんにお届けしたいと思います(なぜかジョナゴールドは例外かもしれないです)
私は美味しい果物を、出来るだけフレッシュに、皆さんの日々の生活のお供に、仲間との時間の一部にして頂けたらと思います。
そう考えると有袋栽培じゃなくても良いかな、とそう考えてしまうわけです。
(まだ駆け出しですので色んな事にチャレンジしています。もう少し有袋栽培に取り組んで何か気づくことないか探りながら、そして自分のやりたい方向に舵をとっていきたいと思います)
写真は昨年の有袋栽培のジョナゴールド。酸味が強めで甘さもあります。この色味が好きで収穫していて満足感のある品種です。私が有袋ジョナゴールドを好むのはこの収穫時の満足感があるからかもしれません。これは作り手だから感じられる幸せで、こういう事も大切にしていけたらと思う次第です。ジョナゴールドの無袋栽培に踏み出せない理由ですね。
live fruity
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